外資系の面接って一体どんなものなのでしょうか?実は、日本とは違った文化を持っていて、面接官は科学的な根拠に基づいた人の誠実さや勤勉さを判断する質問を使います。今回は、そんな面接で実際に使われている英文を一部紹介しつつ、見事ポストを勝ち取った有能な社員の模範解答を載せます。
ただ、この面接手順を採用している一部の社長からは公開のNGを出されているので、残念ではありますがご紹介できるのはホンの一部になってしまいます。
この記事を読むことで、あなたは読み終えるころには有能な人材と同等の面接コミュニケーションスキルを手に入れることとなります。それでは早速見てみましょう!
人は面接官の建前に気づかない
外資系企業で面接を受けたとしましょう。そこで、親しげに笑顔で接してくれる面接官から一通り経歴などを聞かれてから、面接官が気を利かせてくれたのか世間話をしてきたとします。近くにあるおすすめのトンカツ屋、最近でた話題の映画など何気ない会話をしていると、その延長線上にスライドのような質問が合間合間に挟まれたらあなたは何の疑いもなく正直に答えるでしょう。
Where do you see yourself in 5 years from now?
What’s your tolerance for ambiguity?
What would you change about your last job?
フレンドリーに聞いてくれるので、気にかけてくれているんだなぁとあなたはガードを無意識に下げているはずです。まさかこれがトラップだとも知らずに。
面接官はあなたを捨て駒にしか思っていない
面接官の罠にハマってしまったら最後、それがその会社で見る最後の景色となります。実は、外資系の面接には表向きの採用基準と、隠された採用基準の二種類が存在しています。隠された方を「Hidden elimination criteria」などと呼んでいます。
何気ない質問に思えても実はあなたの行動と価値観を探っています。もし行動や価値観が求めている人材と少しでもズレていると感じることがあれば、問答無用で切り捨てます。そんなことを繰り返していては、人が来なくなるのではないかと思いませんか?残念ながらその考えは間違っています。外資系は財力と知名度がとても高く、面接の募集で困ることはまずありません。
毎日のように多くの候補者が面接を受けにくるので、最も優れた適任者を見つけることよりも、どうやってさっさと人数を減らすかが重要になってきます。当然、候補者は全員能力や資格に関しては申し分のない一流揃いです。似たような能力を持った多くの人たちの中でも、行動、性格や価値観が特にフィットしそうな人材だけを残しますが、それ以外の候補者は不要です。掃いて捨てるほど人は来るわけですから、候補者を非人間化し、機械的に判断します。
もしあなたがHidden elimination criteriaだと気付かずに正直に答えてしまった場合、それは注意を怠ったあなたのミスとなります。
将来の行動を予測するには、過去の行動を見れば良い
なぜ外資系の面接官はそんな意地悪な質問をするのでしょうか?実はそこには切実な理由がありました。企業としては、有能な従業員を見つけ出して雇い入れるよりも、有害で会社に損失をもたらす従業員をうっかり雇い入れることを何よりも避けることに注力しています。ではどうすればそんな有害な従業員を見つけ出すことができるのでしょうか?
心理学者ゴードン・リビングストンはこのように考えます。
「過去の行動が、その人の未来の行動を予測する」
つまり、過去にどんな行動を取ったのかを尋ねることで、今後も似た行動を会社内で取った場合、どのような影響を与えるのかを判断できると言うことです。そこで役に立つのが、行動や性格を判断するための巧妙に意図が隠された質問です。Hidden elimination criteriaに引っかかる人を炙り出すための一連の質問をすることで、候補者が会社にもたらす影響を間接的に予測していると言うことです。
三種類の質問で行動を予測する
行動を判断するための質問は数多くあります。例をあげると以下の通りです。
Tell me about yourself.
What are your strengths?
Why should we hire you?
What is your weakness?
How do you handle stress?
What’s your tolerance for ambiguity?
What are your salary expectations?
If you could be any animal, which would you be? and why?
Why did you leave your last job?
Where do you see yourself in 5 years from now?
それぞれ、何気ない質問のように思えますが、実はこの中の10問のうち、安全な質問は3つだけです。つまり、残り7問はHidden elimination criteriaに引っ掛けるための巧妙なトラップです。一見するとどれがトラップか判断つきません。
このトラップで少しでも間違った解答をすると、その瞬間にバッサリと切られます。あなたはとっくに切られたことも気づかずに、手応えを感じたぞ!と意気揚々と帰宅することになるでしょう。
また、聞かれる質問の種類としては大きく三つに分けることができます。
conflict
failure
success
これらの過去の行動を尋ねることで、将来の行動を予測します。それぞれ適切な答え方を知っているかどうかだけでも相当印象が変わってしまうので、不意打ちで聞かれた時に受け答えができていないと「この候補者はろくに準備もせずにきたんだな。落とせ。」となります。
ちなみに、クロスオンライン英会話では、どれがトラップでどれが安全かを全て網羅しており、あらゆるパターンに対応できるように面接練習のカリキュラムを組んであります。
優秀な人材の獲得 < 有害な人材の排除
そもそも有害な社員、有害な人材とは一体どういう人のことを言うのでしょうか?
有害な人材とは以下の行動を取る人を指します
パワハラやセクハラなど各種ハラスメントで周りの生産性を落としている
上司、同僚、部下とことあるごとに揉め自分が正しいと一切譲らない
会社の規則、運営方法にことあるごとに文句をつけて、自分が正しいと一切譲らない
不注意からくる失敗やミスが多く予防する手立てを一切取らない
会社の部品の窃盗、破壊などをする
仕事中にアルコールや違法薬物を使用する
このような行動を取る人が一人でもいる場合、会社の業績は大きく下がります。たとえ上位1%の優秀な人材を雇ったとしても業績を帳消しにし、さらにマイナスが常に上回るほどの悪影響をもたらすことが分かっているため、会社としては一流を雇うよりも、有害社員を雇わないことの方を特に重要視しています。
一流であること以上に、有害ではないことが重要
会社からすれば、優秀な人材にきて欲しいことは間違いありませんが、影響力がはるかに大きいのは有害社員です。そうなると、会社からすれば、費用対効果が最も高いのは才能の発掘をすることよりも、能力はある程度あるものの過去に有害な行動を取ったことがないことを確定させることの方が大事であると言うことになります。
そのため、面接官はありとあらゆる方法であなたの才能ではなく、ホコリが出ないか懸命になって探ろうとします。面接官からすれば「お前を排除すべき理由をたった一つだけでいいから出せ」と言うのが本音な訳ですから、候補者としてはたったの一つもホコリが出ないように何度も面接をリハーサルして、スムーズな受け答えができるようになることが求められます。
10種類の答えを用意しよう
具体的にどのような対策と下準備が必要となるのでしょうか?
少なくとも「失敗」と「成功」からそれぞれ5種類ずつ必要になります。
成功例
能力を発揮し、チームを成功に導いた結果会社に大きく貢献できた
自分の強みが仇となって、別の問題が発生したが見事解決した
曖昧な指示をもらったことがあり困ったが自分で解決策を見つけ出し、チームに大きく貢献できた
このように問題を解決したパターンなどがあると面接官としては「そうか、才能発揮にとどまらず問題の解決も過去に行ってきたんだな。今後もそんな行動を期待できそうだ」と判断されやすくなります。
失敗例
あるタスクで失敗し、チームに迷惑をかけてしまった。その経験から学び取り、予防策を講じたことで同じ失敗をしなくなった
ある顧客とのトラブルで上司に迷惑をかけてしまった。その経験から学び取り、予防策を講じたことで同じ失敗をしなくなった
こちらは失敗例ですが、最後は何を学んだかで締めくくっていることがポイントです。面接官としては「失敗もすることはあるみたいだな。しかし、そこで終わらずに予防策を練ることで対策をしてきたわけだ。今後もそんな行動を期待できそうだ。」と判断されやすくなります。
STAR-Lで解答を組み立てる
解答を用意すると言うことは分かったものの、どんな手順で準備することがベストかを知っている人は少ないかと思います。ここでは一番おすすめな型である「STAR-L」を解説します。
situation:どんな状況、前後関係だったか
task:当時どんな仕事、作業をしている最中だったか
action:あなたはその時にどんな行動を取ったか
result:その行動により、どんな結果を招いたか
learning:そこから何を学び取ったか、今後の糧としたか
具体例をあげると次の通りです。
成功例の場合
situation:ピンチをチャンスに変えることでチーム内で営業No.1になった
task:当時は営業部門に配属されていたが、自分が一番成績が悪く悩んでいた
action:コンサルに依頼して自分の営業を鍛えてもらった
result:それからと言うもの、大型受注を次々と勝ち取るようになった。
成功例の場合、最後の「learning」は必要なくなります。続いて失敗パターンをみてみましょう。
失敗例の場合
situation:アルバイトで一年経ってから初めて組む現場の監督に怒られた
task:警備員のアルバイトをしていたが、そこの監督の指示の意図を汲み取れず怒られた
action:曖昧な状況の中、とにかく歩行者や車両に危険が及ばないことを最大限に優先し、仕事が終わったあとは警備主任に事情を説明した
result:それからは同じ現場監督と仕事をすることは無くなった
learning:曖昧な状況の中で解決策がどうしても見つけられなかった場合は、何を最優先にすべきかを考えて行動するかを意識するようになった
失敗例の場合、最後に必ず「learning」を付け加えることとなります。
合計10パターンの解答を用意することが望ましいと解説しました。実際はそれでも少ないくらいで、想定外の質問が来ることはあります。そんな想定外の質問がきた場合の練習方法も存在しますが、それについてはクロスオンライン英会話でしっかりとお伝えします!
面接中は好感度ナンバーワンの芸人の仮面を被る
掃いて捨てるほどの候補者がいる中で、自分が選ばれるにはもはや仮面を被る必要があります。ありのままの自分、本当の自分、自分らしさや才能を活かせる世の中、という建前はどの会社も言います。しかし、「望ましい理想」と「実際のところ」には大きな開きがあり、結局は後者の「実際にところ」を把握して適応できるかどうかが鍵になってきます。
他にも会社が使う建前としては以下のものが有名です。
We only hire the best!
We value excellence
We put quality first
しかし実際のところの会社の本音はこうです。
People are fungible
Risk is bad, safe candidates are best.
Like-ability and fit are paramount.
このように本音を掴み取り、見事仮面を被った候補者が勝てるのが今の面接です。ただ、その仮面を被るにしてもやはりそれなりの知性、勤勉性とメンタルの強さが求められます。そういう意味では候補者に完璧な仮面を被らせることを要求する会社の判断は大きくは外れていないと言えます。また、実際に有害な社員の場合どれだけ準備をしていてもこの行動判断テストの前ではどうしてもボロが出ると言うことも分かっています。
ボロを出さずに好感度ナンバーワンの芸人の仮面を被れる人と言うのは、実は優秀であり実際に性格的にも有能である可能性が高いと言うことです。これに適応できなかった場合、それまでだったと言えます。
しかし、訓練次第では実際に行動を変えることは可能なので、不器用であっても毎日面接練習をすることで仮面を被り続けるスタミナは伸び、最適な行動が取れる「本物」になれる可能性がぐっと上がります。諦めずに続けられた人が最後は勝ち残りますのでがんばりましょう!
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