会社で勤めていると、生産性の高いチームを率いるリーダーと、生産性の低いチームを率いるリーダーとで経路が違うことに気づくことがあります。
「あ〜あそこはパワハラっぽいな」「こっちのリーダーは人情味があっていいな」など特徴が違います。では、一体どういうリーダーが有効で、どういったリーダーは有害なのでしょうか?
実際に数々の論文を元に作ったスライドを使って、有害なタイプと有能なタイプの違いを解説していきます。この記事を読むことで、自分の会社のリーダーはどのタイプに属するのかが分かり自分のリーダーシップを振り返るいい機会になります。
早速みてみましょう。
生産性の低いチームを率いる有害なリーダー5種類
まずはこちらのスライドをご覧ください。
最も信頼性の高い分析手法を使ってまとめた有害なリーダースタイルトップ5です。
それぞれの特徴をみていきましょう。
裏表タイプ
こちらは以下のような特徴を持っています。
自分より位の高い上司の前では愛嬌を振りまく
自分や自分のチームのミスを認めず責任から逃れようとする
自分のキャリア向上に関わる人だけを援助する
他人の手柄を自分のものであるかのように振る舞う
自分のキャリア向上を最優先にしか考えない
このタイプは、ドラマ半沢直樹に登場する大和田常務のような性格を持ち合わせています。
心理学的には「マキャヴェリズム」と呼ばれる性格特性で、基本的には自分のキャリアの向上にしか興味がありません。社会的地位を高めることができるのであれば、仲間を裏切ろうが太鼓持ちをしようがなんだってするということです。
マウントタイプ
こちらは以下のような特徴を持っています。
部下を侮辱する
部下に職務外の責任や役割を押し付ける
職務外のコミットメントを一切評価しない、無視する
大勢が見ている場所で部下の評価を下げる言動をとる
公共の場で部下を侮辱する
部下の過去の失敗を何度も引き合いに出す
部下が不完全であることを言い続ける
これはいわゆる「姑」気質な人であると言えます。義母による嫁いびり、といったイメージですね。
心理学の分野では、「自己愛性パーソナリティ障害(過敏型)」に近いと考えられます。羞恥心と嫉妬心を人一倍感じやすい一方で、自己顕示欲も強いことがわかっています。
しかも、このタイプの自己顕示欲と羞恥心は相関していることが分かっているので、自己顕示欲の強さを逆手にとって恥をかかせることで精神的なダメージを与えることはできます。裁判沙汰を嫌がり、評価を落とすような事実をバラされるのを嫌がることが特徴です。
予想不可タイプ
こちらは以下のような特徴を持っています。
予想できない感情の爆発を引き起こす
自分自身の感情で職場の雰囲気をコントロールする
自分自身の感情で声のトーンや声量を好き勝手に変える
自分自身の感情で部下たちの感情を変える
全くの原因不明にも関わらず、感情的に部下に接している
「私の感情を読んで行動しろ」と部下たちにエスパー能力を要求する
日や時間によって機嫌が変わるため、接しやすさにムラがある
感情的なムラがあり、それに振り回される部下たちという構図です。
心理学の分野では「境界性パーソナリティ障害」に近い特徴があると言えます。このタイプは見捨てられ不安が強く、感情の起伏が激しいことが特徴です。怒りのコントロールに困難を抱えており、人間関係が安定しません。
感情を読むことを要求するのもなかなかの無茶振りです、言い換えると本人は他人の気持ちを読めると自負しているということでもあるのですが、それが単なる思い込みである可能性までは考える余裕はありません。
自己愛タイプ
こちらは以下のような特徴を持っています。
特権意識が強く、特別扱いされることを無条件に信じている
自分はこの組織で高い地位につくことは間違いないと無条件に信じている
他よりも自分の能力が非常に高いと無条件に信じている
自分は特別な存在であることを無条件に信じている
周りからの賞賛や高い評価を求めることに一生懸命である
こちらはリーダー的であったり、カリスマ的であることもあるので人気を集めることが多いです。ただそこで能力が人気に見合わないようだと、いずれは消える可能性があります。
心理学的には「自己愛性パーソナリティ障害(無関心型)」に近い特徴を持っていると言えます。羞恥心はほとんどないものの自己顕示欲はとても強いので、目立つことになんの抵抗もないため、ある意味では鋼のメンタルを持っていると言えます。
独裁タイプ
こちらは以下のような特徴を持っています。
細かく部下の行動や達成方法を管理したがる
部下のプライバシーを無視する
部下が新しい方法でゴールを達成することを認めない
自分自身が信じている方法以外のアイデアを全て認めない
柔軟性に乏しく、例外的なことがあった場合でも自分の流儀を押し通す
重要性に関わらず、全てのチームの意思決定は自分自身が行おうとする
ビジネス風に言えば「マイクロマネジメント」ということになります。家庭であれば「過保護、過干渉の親」ということになります。
心理学的には「強迫性パーソナリティ障害」に近い特徴を持っていて、完璧主義的な価値観を持っています。常に自分の思った通りにことが運ぶことを期
待しており、自分の管理できる範囲を超えていよいよ他人の行動にまで細かくコントロールする強い欲求を持ちます。
生産性の高いチームを率いる有能なリーダー
こちらも同様に、メタ分析を使って有能なリーダーの種類を5つリストアップしました。
倫理的リーダー
こちらの特徴は以下の通り
常に公平で平等な接し方を行う。エコひいきはしない。
遵法意識が高く、問題となることはしない
しっかりと成果に関心を受けており、変革と結果を追い求める
倫理的リーダーという名前はついていますが、ガツガツと成果を追い求めることもするので決してただの聖人君子で終わるわけではありません。
変革型リーダー
こちらの特徴としては以下の通り
変革と現状打破を追い求める
ビジョンを共有し、成果を追い求める
試行錯誤を恐れない
最も人気があるタイプのリーダーシップで、零細企業や意識が高い中小企業では特によくみられるスタイルです。
エンパワーメント型リーダー
こちらの特徴としては以下のとおり
従業員の主体性を伸ばす
人間関係を良好にする
意思決定の責任の共有
こちらは、カウンセラー的な、親身になって話を聞いてくれるタイプというものもあれば、割と放置プレイなものまでサブタイプに分かれます。
自分らしいリーダー
こちらの特徴としては以下の通り
自分の性格をありのままに出す
自分の考えや価値観をありのままに出す
自分の美学をありのままに出す
とにかく、裏表なく自己開示し、自分を受け入れて自分を出していくスタイルとなります。元から性格も価値観も良いものであれば問題ありませんが、性格も価値観も有害だとそれをありのままに出してしまうことで問題に直面することはあります。
奉仕型リーダー
こちらの特徴は以下の通り
部下に難しいことをやらせずに自分でやってしまう
部下の代わりに色々とこなしてしまう
プレーヤーマネージャー
これは、リーダーが積極的に支援する、足りていない能力やスキルをリーダーが代わりにしてしまうというタイプになります。リーダーの頑張る姿に勇気づけられて従業員も真似をするかもしれませんが、反対に従業員の成長する機会を奪っているとも言えます。
それぞれのリーダーシップの効果の高さ
それぞれの効果の高さを棒グラフにしました。
意外と思われますが、一番人気である「変革的なリーダー」よりも「倫理的なリーダー」の方が効果が高いようです。理由としては、倫理的なリーダーは成果を最大限に追い求めつつ、倫理的にセーフであろうとする姿勢が業績やチームの士気に良い影響を与えているようです。
エンパワーメント型の場合、従業員の成長は一旦落ちてしばらく低迷したらゆっくり上昇するというU字カーブを描くようです。V字回復、とは行かないようですね。
最も効果が低かったのが「奉仕型リーダー」でした。理由は簡単で、部下が成長しないことが一番の理由でした。
ただ、どれもプラスの影響があったことは間違いありません。パワハラリーダーほど有害ではないだけマシかもしれません。皆さんはどんなリーダーシップを発揮していますか?
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