まとめ
部下に仕事を任せることができない上司は、過去の実績に基づいた「信用」を得るために、部下を育成することが必要です。そのためには、上司が作業をしているところを見せ、やり方を指導し、部下にやらせてみることが大切になります。また、適度に距離を離してあげることも必要であり、必要に応じて伴走することで部下が課題を克服できるように支援することも重要と言えます。さらに、部下が育たないとモチベーションが下がり、パフォーマンスも低下します。リーダーシップとコミュニケーションを向上させるためには、リーダー研修を受けることがおすすめです。
部下に仕事を任せられない上司の心理
部下に仕事が任せられないので困っていると言っている上司はどんなことを考えているのでしょうか?基本的には以下のような思考パターンとなっています。
この作業は部下には大変だ、知的難易度が高すぎる
この作業は自分でした方がまだ安全だ、後回しにしよう
この作業は部下たちには出来ない、自分で抱え込むしかない
部下たちの能力を信用できない、信頼していない
このような発想なので、ずっとプレイングマネージャーのままでい続けてしまいます。もし作業内容が自分一人でもできるのであればそれでも構いませんが、一人では抱えきれないほどの量だった場合は詰みます。
部下に仕事を任せられないと
チームのキャパシティ=上司のキャパシティになる
抱え込んでしまう上司の弊害として、決定的なのが「部下が育たない」ことです。部下が育たないことの影響は深刻で、言い換えると部下は上司と同等のレベルにまで育たないので、チーム全体の生産性と上司単体の生産性がほぼ同等になります。
つまり、せっかくチームを組んでいるのにこなせるパフォーマンスが上司一人分だということです。チームのキャパシティ=上司のキャパシティとなります。こうなると、このチームが受注できる仕事量の限界はすぐにきてしまうので、生産性の低いチームであるということになってしまいます。
もしチームのキャパシティを増やしたいのであれば、上司は抱え込むのではなくなんとしても部下たちを育てる必要があります。
部下を信用するには、部下に実績を積ませる以外にない
上司はなぜ部下を信用できないのでしょうか。まず、「信用」と「信頼」の言葉の違いをよく理解しておく必要があります。
信用とは、過去の実績に基づいて相手を判断することをいいます。実績があればそれだけ信用されるということです。
信頼とは、無条件に相手を人として判断して頼ろうとすることをいいます。
部下を信用するには、そもそも部下に実績を積ませる以外に方法はありません。そうなると、どのみち作業をやらせなければ信用する日がくることは一生ありません。
そうなると、上司としてすべきこととは何かが見えてきます。ここで参考になるのが山本五十六の名言です。
“やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず”
つまりこうです。
上司が作業をしているところを見せる
やり方を部下に指導する
部下にやらせてみる
成功体験を積ませて褒める、フィードバックする
シンプルですが、ここを上司がめんどくさがるとチームのキャパシティは一生広がりません。
バーンアウトを起こすタイミングで伴走する
山本五十六のいうことは正しい!しかし実際はそんなうまくいかない・・・そう思う人も居るでしょう。
適度に距離を離してあげることも必要ですし、場合によっては伴走する必要もあります。ただそのタイミングが読めないため上司もいつ介入する必要があるか分かりません。
よく慣れた上司は、大体どの作業工程で詰まるか予想できます。それまで何度も周回しているため、パターンが読めます。
必要に応じて伴走し、介入して部下が課題を克服することを支援することでバーンアウトにならずにすみます。では、そのタイミングが分からなければどうすれば良いのでしょうか?