従業員の生産性や子供の学習意欲が高まる場合、その脳の働きが気になる人も一定数いるかと思われる。そこで、こちらの論文を参考に二枚の表にまとめた。まず一枚目が以下の通り。
人の行動とモチベーションを紐解くと、基本的にはこの三段階に分けられることが分かった。初めに「動機の開始」、続いて「動機の維持」、最後は「動機の調整」となる。
実際の例を挙げて説明する。
あなたが街を散歩している時に、たまたまカレー屋さんの匂いに気付いたとする。それまでそれほどお腹が空いていたわけではないが、なんだかいい匂いがしたので少しカレーが食べたくなった。これが「動機の開始」に相当する。
次に、自分の過去に当てはめてカレーが美味しいかどうか、今お腹が空いているか、この後の予定をほぼ無意識レベルで考えるだろう。そして特に問題がなければ、期待に胸を膨らませてカレー屋さんに入店する。これは「動機の維持」に相当する。
最後は、無事カレーを食べ終えたとする。目標を達成した訳でなので、カレーを食べることの次に重要な目標である「帰宅」を実行に移す。これが「動機の調整」となる。
この一連の流れを脳の図に当てはめると以下の通りとなる
この脳の画像を使って解説すると以下の通りとなる。
昇給するかもしれない、自信があったテストで合格できそう、バーで出会ったあの子をお持ち帰り出来るかもしれないなどの「報酬予測」によってドーパミンが分泌される。これが引き金となって人は一時的に行動力は高まる。何かを手に入れたい一心で、ただ目標に向けて一直線に進むようにスイッチを切り替える。「動機の開始」という段階は線状体(NAcc)と呼ばれるエリアにドーパミンが送られることでこのような心理状態になる。
自分の過去からの判断、価値観の判断などをいくつかのフィルターを通してその目的の重要性を確認する。ゴーサインが出れば、優先順位をトップに持ってくることで自分の行動と意思決定は一直線に揃う。あとは目標を手に入れるために余計な行動を排除して、ただただ真っ直ぐ突き進む。この価値判断を担当するのが眼窩前頭皮質(OFC)である。これが「動機の維持」という心理状態となる。
最後に未来を予測し、どのように行動すべきかを計画する。2歩、3歩先を読んで自分はどのように振る舞うべきかを判断して最適な行動を計画する。バーを例に挙げれば、どのように話せばよいか、どのようにお持ち帰りに誘導するかなどをワーキングメモリをフル活用して計画を立てる。背外側前頭前野(DLPFC)はそのような心理状態を生み出す。最も知的な作業を要するエリアでもある。これが「動機の調節」である。
Q1 モチベーションを高める上で有効となるホルモンはドーパミンだけである
はい
いいえ
Q2 「期待感に胸が膨らんでいる状態」と「実際に目的を達成した状態」とでは、同じ脳の部位が発火している
はい
いいえ
Q3 従業員のモチベーションを高めたい場合、使える方法は昇給や昇格くらいしかないため、最悪の場合にはパワハラも必要である
はい
いいえ
Comments